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断片的なものの社会学

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『断片的なものの社会学』岸政彦著 朝日出版社刊

読み終えたところで何一つとして答えを出してくれるわけではない、そういう類の本に救われている。なにかにつけて明確な答えを要求される社会の空気感に押しつぶされそうになる時、このような本を開きたくなる。
社会学者である著者は、ある歴史的な出来事を体験した当事者個人の生活の語りを一人ずつ聞き取るという調査をしている。本来の社会学ならば、そのような調査からある傾向などを分析するものである。しかしこの本では「分析できない物語」ばかりを寄せ集めた散文集のような本になっている。
その物語にドラマチックな展開はまったく無くて、徹底的な無意味さのみがある。その無意味さに何故か心を惹かれるのだ。物語はふっと途切れるようにして終わり、読者はどこでもない場所に放り出されたような感覚に陥る。でもそれはいやな感覚ではなくて、むしろ普通の読書ではいけない場所に連れていってくれるような感覚がある。
この本を一言で紹介するのはとても難しい。なにしろ断片的で無意味な文章や物語がただ転がっているような本だから。敢えて言うなら著者のあとがきがこの本を的確に、端的に表しているので、気になる方はあとがきだけでも読んでもらいたい。

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